2006年05月31日

日本で一番

日本一短い国道.jpg

“日本で一番短い国道”は、神戸にありました。
その距離187mだそうです。神戸港と神戸市中央区の国道2号を結ぶ道路で、短いながら神戸港の物資流通のための重要な道路だとか。

この標識、偶然発見したのですが、“日本で一番”とかって、なんだか楽しくなります。
(これからも“一番”に出会ったら、シリーズ化して掲載できそうですね。)


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2006年05月28日

COMME des GARCONS

COMMEdesGARCONS青山店1.jpg

COMMEdesGARCONS青山店2.jpg南青山を訪れて通りを散策していると、必ず目が惹きつけられるお店があります。COMME des GARCONSの青山店です。
現在のショップデザインは、1999年4月にリニューアルオープンされた時からのもの。未だに、いつ見ても新鮮さを感じられるものです。
それまでも、それからも、COMME des GARCONSのショップデザインは変化し続けています。ショップデザインのコンセプトも、デザイナーの川久保 玲氏が提案し続けておられる。変化し続けるものと変わらないものを、分けて考えておられるような気もします。

COMMEdesGARCONS神戸店1.jpg

そして今年3月、神戸店がオープンしています。大丸神戸店の旧居留地38番館という別館的な場所にあります。圧倒されるような斬新さを放つショップです。
「THE WORLD OF INTERIORS」というイギリスのインテリア雑誌に掲載された写真を引き伸ばして壁紙とされたそうで、それが壁一面を演出しています。イタリアやインド、トルコといった国々の宮廷や豪邸のインテリア写真。それが雑誌を飛び出し等身大で壁面に出現し、どこかの宮殿に迷い込んだような錯覚さえ生まれる空間。
素材も内容も、路面店ではない百貨店の、しかも神戸旧居留地という立地の中で別館として確立している場所であるからこそ、この斬新さが活きているようにも思います。
訪れて見て、なんとも快活な笑みがこぼれてしまうような、そんな感覚がありました。川久保氏が笑顔で“どう?すごいでしょ”と、ささやいておられるような、そんなご様子が浮かんでくるような気がしました。
ファッションによって“人”をトータルしてデザインする世界。小さな部分から全体を捉え、自由に変化させることもできるデザイン感覚。それがそれぞれのお店に、活き活きとした息吹を吹き込んでいるのかもしれません。

常に胸をはって一歩先を歩く、そんなデザイナーの清々しいエネルギーが、ショップの中、隅々に駆け巡っているようです。

COMMEdesGARCONS神戸店2.jpg COMMEdesGARCONS神戸店3.jpg
<お店の入口までの導入部分でも“宮殿”。上左写真、突きあたり、階段がさらに続いているように見えますが、これも壁紙。階段両サイドなど、壁紙をすべてにべったり貼ってしまうと圧迫感が強くなるところを、途中、ミラー素材のものも入れ、うまく開放しています。>

青山店
【住所】東京都港区南青山5-2-1
【TEL】03-3406-3951

神戸店
【住所】兵庫県神戸市中央区明石町40番地
大丸神戸店 旧居留地38番館2F
【TEL】078-322-3795
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2006年05月27日

大局

大は小を兼ねるとよく言われますが、
(兼ねない場合もあるかもしれない
けれど、)その逆は難しいなぁ・・・。

これ、ものの見方や考え方にまで
影響することみたいなんですね。
最近、このことをものすごく感じる
ことが多いです。

枝葉末節に気をとられ過ぎると、
根幹が見えないかもしれません。

表情の裏側にあるものを察すること
ができるかどうかも、それに繋がる
気がしています。
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2006年05月25日

緑ある都市

風薫る5月などとよく言われますが、日によっては少々暑くなってきたものの、今の季節は緑が美しく、目にもさわやかな心地よい季節ですね。

御堂筋銀杏並木.jpg
大阪の御堂筋銀杏並木。
以前、『大阪から発信する』で、冬枯れの同じ場所を撮ったものを掲載しています。四季折々に、その味わいも変化しますね。

神戸明石町筋ケヤキ並木.jpg
神戸の明石町筋のケヤキ並木。
大丸神戸店の横、旧居留地にある通りです。大丸1階のカフェテラスでの眺めも、とても素敵な場所です。

参道ケヤキ並木.jpg
東京・表参道。4月終わりに記事にもしました、表参道ヒルズとケヤキ並木の美しい関係。


どの地でも都市の中、緑があるということが、素敵なよい環境を創り出す上でとても重要であることをしみじみ感じます。都市の中での緑、大切にしたいものですね。
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2006年05月24日

リフレッシュ “キヨスク”

先日記事にさせていただいた駅ナカ事業の発展と同時に進められていることで、西日本ではキヨスクが変化をはじめています。
コンビニエンスストアといった競合するお店が駅周辺にひしめく昨今、キヨスクの売上げは先細りにあったようです。これを回復すべくJR西日本の駅ナカ事業を進めるJR西日本デイリーサービスネットが、雑然とした販売員が中から見下ろす従来のキヨスクから、コンビニとの差別化をはかりながら店内へと踏み込み型キヨスク(20〜30u)の展開を決め、今まではなかった手法として、インテリアデザイナーに相談をもちかけての新規巻き返しに着手し始めたということでした。そこで登場となったデザイナーが、形見一郎氏と西脇一郎氏。この両氏によって、なかなか素敵なキヨスクが誕生しています。

キヨスク伊丹.jpgキヨスク伊丹
【所在地】JR伊丹駅構内
【設計】カタ 形見一郎
【開店】2005年6月19日
【経営者】潟Wェイアール西日本デイリーサービスネット

キヨスク猪名寺.jpgキヨスク猪名寺
【所在地】JR猪名寺駅構内
【設計】西脇一郎デザイン事務所
【開店】2005年4月15日
【経営者】潟Wェイアール西日本デイリーサービスネット

わたしが見てきたのは、形見氏による伊丹駅のものと、西脇氏による猪名寺駅のものです。
それぞれデザインはまるで違いますが、商品のわかりやすい見せ方、入りやすさ、ぱっとキヨスクが目に留まる明るさ、そういったキヨスクをより良くするためのポイントを、それぞれのデザインの中でとても上手に盛り込んでおられます。
形見氏の円形キヨスクは、駅構内の通行の流れ上での駅利用者から見て、“さぁ、どうぞ”と店がやさしく受け止めるように開いている建て構えになっています。また、西脇氏のアイコニックなデザインは、昨今の生活の中でパソコンなどのインターフェースに馴染んでいる現代人には親しみを感じやすく、商品の置き場所も一目瞭然でわかりやすいものになっています。
それぞれ、利用者にやさしいデザインのように感じられました。
従来のキヨスクでは、おじ様方が新聞を買ったりが中心であったのが、この踏み込み型では女性誌を店頭に見せる陳列を行うなどして、女性も入りやすいものになっており、わたしがしばらく様子を見ていた間でも、女性や若い男性の利用者も多く、明らかに変化しているであろうことが感じられました。

伊丹駅と猪名寺駅というと、お気づきの方もあるかもしれませんが、事故の記憶もまだ癒えない方あるJR宝塚線にあります。
新しいキヨスクの利用者にやさしいデザインは、キヨスクのあり方を導いています。
利用者にとって便利できれいな楽しいキヨスクが今後増えていくことと同時に、あのような事故は2度と繰り返されることなく、被害者の方にとってはおそらく癒えることがない悲しみの記憶を忘れ去ることなく、利用者のための駅の発展とともに安全な鉄道であってほしいことも最後に書き添えておきたいと思います。
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2006年05月21日

踊る駅ナカ

ここ数年の間に、あちこちの駅の中が楽しい場所になってきていますね。
キヨスクといった小さな売店が駅での主だった商業スペースであったのが、すっかり広がりを見せ、主要な駅から変貌をとげつつあります。

最近、駅ナカの成功例として注目の的となっていたのが、「エキュート品川」と「エチカ表参道」。JR東日本と東京地下鉄が打ち出した“駅ナカ”事業です。JR品川駅で1日の乗降者数は約110万人、東京メトロ表参道駅で約30万人に上るそうで、この“駅”という自然に集客を見込める好条件の立地を、いかに施設として目覚めさせるか、両鉄道会社の企画の見せ所ともなったように思います。
駅の利用者を、旅客として捉え鉄道の“駅”を考えることから、消費者として捉え楽しめる場所へと“駅”を考えてみる。これが駅ナカ事業のポイントのようです。また、それぞれの場所で人の流れにそった配置と動線をつくり、流れながら興味を引かせることが、大混雑は防ぎつつ集客に結びつける空間づくりとなっているようです。

エキュート品川のある品川駅は、新幹線から在来線への乗り換え口でもあり、この施設は在来線の改札から出ない完全な中にあり、本当の“駅ナカ”立地。それが十分に乗り換え乗降者の利便性にかなっています。
エチカ表参道も、改札内には「オモキノクニヤ」といった高級スーパー・紀ノ国屋の新業態であるフーズショップなどを配置し通りすがりの買い回りを促し、改札外にはパリの市場をイメージしたフードコートを配置し、駅から次の場所へと移動の前にいったん寛げる場所を提供するといったように、駅それぞれの条件に合わせた、より利便性にかなった施設を創りだしています。

現在、関西では大阪駅が大改装中にあり、今後どのような駅ナカを展開していくかも興味深いところ。関東で大きく発展しつつある駅ナカ事業ですが、始まりは大阪からだそうで、1995年に阪急電鉄が十三駅ホーム上に直営のコンビニエンスストア「アズナス」を設置したのが最初だとか。
乗り換えなどの合間、便利さと同時にちょっとしたリラックスできる場所が増えれば、多くの利用者が見込めることは間違いなく、駅ナカはますます発展していく可能性大な場所であるだろうと思います。
会社への往復の通勤だけ、そんな交通手段のみの通り過ぎる駅から、ちょっとリラックスして帰れる場所になったり。そんな駅も全国に増えていくのかもしれませんね。
楽しき駅ナカ、踊る駅ナカ。

エキュート品川
【所在地】JR品川駅構内
【TEL】03-3444-8910

【開店】2005年10月1日
【経営者】開R東日本ステーションリテイリング

エキュート品川1.jpg エキュート品川2.jpg エキュート品川3.jpg エキュート品川4.jpg

エチカ表参道
【所在地】東京メトロ表参道駅
【TEL】03-3941-2004(東京メトロお客様センター)

【開店】2005年12月2日
【経営者】東京地下鉄

エチカ表参道1.jpg エチカ表参道2.jpg エチカ表参道3.jpg エチカ表参道4.jpg
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2006年05月20日

デザインの深読み

ここしばらく表参道を訪れたことを書き綴っていますが、東京へとやって来て品川駅へ降り立った時、オノボリさん状態のように、“おっ!”となった出来事がありました。
新幹線のホームからエスカレーターで上がったすぐのところで、坂井直樹氏とすれ違ったことでした。わたしは坂井氏についてお写真を拝見したことがあるだけでしたが、髪型とメガネ、間違いない…と思います。(坂井氏をご存知の方は、わかりますよね。)

有名人の方と偶然すれ違ったりといったこと、今までにもけっこう経験あるのですが、驚きました。“東京・表参道デザイン散策”としては、幸先の良い偶然。わたしが目を真ん丸くして直立不動していたら、「こんにちは!」と、とても快活に声をかけて下さいました。坂井氏は、わたしが来たのと反対のホーム(新大阪方面行き)へ降りて行かれるところで、起き上がりこぼしみたいに繰り返しお辞儀しているわたしに、ご丁寧に応対してくださりながら去って行かれました。(もしも万が一、これをお読みくださるようなことでもあった時のために、『その節は失礼を致しました』と、申し上げておかなくてはなりません。(苦笑))

坂井氏と言えば、長く雑誌「Pen」で連載執筆されていたコラム『デザインのたくらみ』が、今年1月に本になっています。そのコラムが坂井氏のオフィシャルサイトでも読めることは知っていたのですが、今年2月からブログもお書きになられていたのですね。その名も『コンセプター坂井直樹の”デザインの深読み”』だそうです。まだ拝見させていただいたばかりですが(遅!)、興味深い楽しい内容のようです。とても個性的でパワフルな人生観からくる、“もうひとつの視点”とでも言いましょうか…、そんな坂井氏流のデザイン論を拝見できるかもしれません。

時々、直接の仕事からは離れて小旅行すると、いろんな新しい刺激を受けて脱皮できたりします。この時のちょっとしたすれ違いだけの出会いも、そんなきっかけの第一歩になっていたように思います。
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2006年05月16日

2006 nakata.net cafe

nakata.netCafe1.jpg

昨日、2006FIFAワールドカップ・ドイツ大会のメンバー発表があり、“大阪から発信する”の方でも『がんばれ!ジーコJAPAN』として、大阪・道頓堀筋入口に登場している宮本選手の大看板などを記事にさせていただきましたが、4月終わりの表参道散策の折、北青山に4月25日オープンしたばかり(期間は7月16日まで)のnakata.net cafeを訪れることができました。

もう皆さま、ご存知の方が多いことでしょう、中田英寿選手プロデュースのワールドカップ期間限定cafeです。2002年の日韓大会の時には、東京国際フォーラムに開設されてたんですよね。
あまりゆっくりできる時間はなかったのですが、旅先でのメールチェックなどもしながら少しでも垣間見られて、ラッキーな気分に浸っていたスポーツイベント好き人間なわたくしです。

nakata.netCafe2.jpg nakata.netCafe3.jpg

コンセプトは、日本の多くのサッカーファンが、日本に居ながらにして、ドイツでのワールドカップの興奮を共有できる「フットボールラウンジ」だとか。170インチスクリーンと47インチ大型液晶テレビが7台完備され、スカイパーフェクト・コミュニケーションズの協力で、全試合パブリックビューイングだそうです。東芝によるネットコーナーも設けられています。
天井高のある広々とした空間に、インテリア好きの中田選手らしい演出なのか、BALS TOKYOのコーディネートによるゆったりしたソファ席も用意され(ソファ席の争奪戦もありそうですが)、期間限定とはいえ、なかなかの凝りようです。
日本時間で深夜の試合観戦となりますが、そんなゆったりした空間が深夜とは思えない人で埋め尽くされそうですよね。

こういう時は、東京っていいなぁと思ってしまいます。宮本選手のプロデュースによる『宮本恒靖 FOOTBALL PARK in Marunouchi 2006』も、東京・丸の内の丸ビルにオープンですし。
さらに4年後は大阪でも、いえ各都市でもオープンさせて、日本全国津々浦々で盛り上がれると、ますますサッカーの人気も老若男女問わず広がるのではないでしょうか。

オリンピックもWorld Baseball Classicもそうでしたが、スポーツの祭典で、がんばる日本選手を応援する気持ちって、とてもいいものです。

やっぱり、ここでも最後は、『がんばれ〜!!!ジーコJAPAN』です。
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2006年05月15日

岡本太郎記念館

岡本太郎記念館1.jpg

岡本太郎氏が亡くなられて、今年で10年の歳月が流れます。表参道を訪れた折に、岡本太郎記念館も訪れてきました。

南青山に建つこの記念館は、元々は、岡本太郎氏の自邸兼アトリエです。1954年に建てられた、岡本太郎氏の友人でもあった坂倉準三氏設計による建築に、既存棟(本館)の改装と新館を増築し、1998年3月に公開されたものです。公開された時の館長は、氏を秘書として長年支え、その後養女となった岡本敏子さんでした。敏子さんも昨年2005年、永眠されました。

岡本太郎記念館2.jpg

記念館の中、壁面に飾られた岡本太郎氏と敏子さんのフォトグラフが、とても印象的です。そこに時の流れを超えた愛情のようなものが、今もまだ漂っているような、そんな切なさを感じました。それが、岡本太郎氏の、内からほとばしるような情熱のエネルギーが宿った作品の数々とひとつになって、この記念館の空気をも、かたちつくっているかのようでした。その空気感に、わたしは切なさと美しさを感じました。

この記念館には開館以来、20万人を超す人々が訪れているそうです。館内での写真撮影も模写も自由ということで、その時も訪れていた方々は皆、それぞれの作品を写真に納めておられました。彫刻は触ってもよいということでしたが、作品にいたずらをされるようなことは、今までなかったそうです。この記念館に漂う空気感が、そうであるようにしているのかもしれません。
訪れる人は年々増えているそうで、若いアーティスト志望の人も多いそうです。

この世を去られて10年という歳月を経てもなお、情熱という“生”のエネルギーと人としての歩みを感じ取ることができる空間、その中で、人と人とのつながり、愛情、そんな温かなものがたくさん心に響いてきたのでした。

岡本太郎記念館
【住所】東京都港区南青山6-1-19
【TEL】03-3406-0801

岡本太郎記念館6.jpg左写真のように、『大阪から発信する』でも以前記事にさせていただいた、今はなき大阪近鉄バッファローズのシンボルだった猛牛マークが入った野球帽なども展示されていました。

岡本太郎記念館4.jpg 岡本太郎記念館3.jpg 岡本太郎記念館5.jpg 岡本太郎記念館7.jpg
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2006年05月10日

COLLEZIONE(コレッツィオーネ)

COLLEZIONE1.jpg

表参道ヒルズ、hhstyle.com/casaと、2つの安藤忠雄氏の建築を続けて記事にさせていただきましたが、この周辺にはもうひとつ、安藤氏が設計された建築がありますね。
表参道の駅より、参道に沿って根津美術館、青山墓地方面へ向かう南青山にあるCOLLEZIONEです。

竣工は1989年9月ですが、設計は1986年から1987年にかけての約20年前に計画されたもので、安藤氏の初期作品に見られる、趣きある閉鎖的でストイックな空間構成の特徴が表れている建築です。
表参道ヒルズが、“安藤建築らしく”ないと評される方々は、このCOLLEZIONEに見られる特徴が安藤建築らしいと思われる方々のようです。
しかし、この建築に携わられた頃の、安藤氏が書かれたものなどを拝見するとよくわかるのですが、表参道ヒルズへと繋がる建築への考え方が、COLLEZIONEを建てられる中でも伏線として出来ていたことが、この建物には表れています。それは、この建築が当時の周辺の街並みを崩さず守るために、地上での高さを抑え、地下へと構成しながらも自然の光を空間内に導き入れるものであったことです。環境の中での建築のあり方、表参道周辺での考え方が、ここからも積み上げられてきていたかのようにも思われます。

当時の周辺の様子を、わたしははっきりとは知らないため断言するようなことは言えませんが、向かいに建つフロム・ファーストは1975年竣工とこれより前からあったものの、ちょうど同じ参道沿いにあるコム デ ギャルソンがお店を構えたのが1989年2月ということ(コム デ ギャルソンのショップデザインが現在のものとなったのは1999年4月です)ですので、少しづつ変わり始めたころの、それでも今以上に落ち着いた環境であったろう南青山という土地に、どう建築するかを追求されたものだったということがうかがえます。

表参道ヒルズは、地下鉄が近くを通っているため地下を掘る振動も許されない状況で建てられたものだったそうですが、地上5階(一部6階)、地下も6階まで設けられています。そして、施設に必要とされるあらゆる面を考え合わせて(4月29日付記事をご参照ください)の、建築空間が構成されています。最近、専門誌に掲載された表参道ヒルズの平面図を拝見しましたが、あの敷地環境で求められることを実にうまく、無駄なく美しくゾーニングされています。
COLLEZIONEでは地上4階、地下3階の空間が構成され、内部へいざなう迷路のような動線は、当時の周辺街並みに対しても刺激を与えるものとなるだろうと考えられてのものだったそうです。この建築での必要とされた用途においても今以上に当初、その刺激は視覚的にもほどよいスパイスとなるものだったろうと思います。

それぞれの建築のそれぞれのかたちには、そう考えるに至る意味があるということ。それは建築に限らず、あらゆるデザイン活動に言えることと思いますが、そのことを表参道周辺の安藤氏の3つの建築を訪れる中でも、感じ取ることができます。
安藤忠雄氏が、COLLEZIONEについて書かれたものの中で語っておられたことに、“私にとって,建築の設計はまず,敷地の要求するところを読み取り,胚胎している可能性に耳を澄ますところから始まる”ということがありました。
その意味を、それぞれの建築の、そのあり方でみごとに表しておられることが、それぞれの建築を訪れ、耳を澄ますと見えてくるように思います。

【住所】東京都港区南青山6-1-3
【TEL】03-5468-1825(ラ・コレッツィオーネ・オフィス)
 
【竣工】1989年9月 <新築>
【設計】安藤忠雄建築研究所
【施工】大林組

【関連HP】http://www.lacollezione.jp/

COLLEZIONE2.jpg COLLEZIONE3.jpg COLLEZIONE4.jpg COLLEZIONE5.jpg

2006年05月07日

ストリート花壇

キャットストリート-花壇.jpg

hhstyle.com原宿本店から、キャットストリートを散策しながら
表参道へと抜ける道すがら見かけた花壇。
こういう風景は、街角での心のオアシスになりますね。

花壇、そしてケヤキ並木の緑。
変わらずにあってほしい風景でした。
posted by Rin at 23:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 街角・風景 等 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月06日

hhstyle.com原宿本店
hhstyle.com/casa

東京、表参道。表参道ヒルズを訪れるにあたり、その周辺も散策してきました。ケヤキ並木の美しさは守られながら、一日巡り歩いただけでも、目まぐるしく変化している場所のようにも感じられました。
間々で他の記事も挟みながらになるかもしれませんが、見てきたものを新旧問わず、少し記事にしていきたいと思います。


この周辺での安藤忠雄氏設計の建築も、表参道ヒルズだけではありませんよね。
hhstyle.com/casaも、安藤氏によるものです。
そして、hhstyle.com原宿本店は、妹島和世氏によるものです。

hhstyle.com原宿本店1.jpg hhstyle.com原宿本店2.jpg

hhstyle.com原宿本店
【住所】東京都渋谷区神宮前6-14-2
【TEL】03-3400-3434
【営業時間】PM12:00〜PM8:00  

【開店】2000.09.15 <新築>
【設計】妹島和世建築設計事務所
【建築プロデュース】浜野総合研究所
【施工】大成建設

hhstyle.com-casa1.jpg hhstyle.com-casa2.jpg

hhstyle.com/casa
【住所】東京都渋谷区神宮前6-14-5
【TEL】03-3400-8821
【営業時間】PM12:00〜PM8:00  

【開店】2005.04.02 <新築>
【設計】安藤忠雄建築研究所
【施工】竹中工務店


この2つは、同じhhstyle.comという輸入家具販売のショールーム的機能をもったショップですが、扱う商品カテゴリーの違いを、みごとに建築におけるコンセプトの違いでも表現しています。
建築された時期はhhstyle.com原宿本店が早く、2000年初秋にオープンしており、hhstyle.com/casaは昨年2005年春にオープンしていますね。従来のhhstyle.comの販売商品を扱うにふさわしい原宿本店の透明感溢れるギャラリー的空間に対し、さらに特化した商品として「アルマーニ・カーザ」といったブランドを扱う、閉鎖的に謎めかせた空間のhhstyle.com/casa。
一歩足を踏み入れても、それぞれの商品の違いを空間の違いからも、肌で感じ取ることができます。(店内の様子は、各公式サイトに掲載されておりますので、そちらをご覧ください。)

安藤氏がhhstyle.com/casaに携わった時期と表参道ヒルズに携わった時期は重なってもおり、それぞれの建築の用途と環境への配慮の違いから、まったく異なる雰囲気を醸し出すものを創り上げられているということも、比べてみることでもよくわかるかもしれません。
hhstyle.com/casaのこの特殊な形状は、敷地が5年、10年の異なる期限に定められた借地をまたいでいる点や、周辺住宅への日影などの条件をクリアさせつつ計画されたことによるとのこと。厚みが16mmの鉄板により、期限付きの敷地に自由なカタチを描き、仮設的とも言える軽さを表現されたそうです。条件の中、ブランドを魅せるための遊び心にも富んだものを、創り上げているのではないでしょうか。

また、hhstyle.com原宿本店のギャラリー性の高さは、正面奥の壁面を有効活用し、hhstyle.comが力を注ぐ商品でもあるデザイナーズチェアの数々を美しく並べ魅せ、その迫力をも楽しめる空間になっています。


ここからは余談なのですが、わたしはhhstyle.com原宿本店を訪れたら買おうと思っていたものがあり、それを今回ようやく買ってまいりました。すでにご存知の方も多いかもしれませんが、5人の著名建築家によるデザインの風呂敷が、和装小物を扱う老舗・美濃部のプロジェクト第一弾として、この春より販売されています。その中のhhstyle.com原宿本店も設計された妹島和世氏の、草花をモチーフとしたものを入手しました。
最近、日本の風呂敷は、ノーベル平和賞受賞者のケニア副環境相、ワンガリ・マータイ氏のMOTTAINAIの活動などでも世界的に注目されたりしています。
わたしは、けっこう昔から風呂敷愛用者で、旅行鞄の中には必ず風呂敷を入れていたりしています。その昔、学生時代に、京都の河原町にある、それなりに歴史を感じさせるような風情のお土産屋さんでアルバイトしていたことがあったのですが、そのお店の建て構えからも外国人観光客の方が店内写真を撮ったりと訪れることも多く、そういった外国人のお客様に最も人気のあったものが風呂敷でした。(歌舞伎柄などが、特に人気でした。)現代では日本の風呂敷の良さは、海外から伝わってきてしまうという、少々残念な実情。このせっかくの日本文化から生まれたものが、今見直されているというのも、日本のデザインやものづくりを見直したりの上でも、良いチャンスかもしれませんね。
妹島和世氏デザインの風呂敷は、裏表がまったくない染め上がりで、少々透ける風合いでもあり、これからの季節だと浴衣にも合わせられるかもしれません。スカーフ的な使い方もできそうに思いました。
ちょっとした時に、工夫ひとつで便利に使えそうです。
posted by Rin at 13:47| Comment(5) | TrackBack(2) | 物販>生活雑貨 等 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする