2006年03月25日

現場好き

『事件は会議室で起こってるんじゃない!現場で起こってるんだ!』
ご存知の方も多い、ドラマ「踊る大捜査網」の青島刑事のセリフです。

刑事さんの現場100回じゃありませんが、これ、いろんな物事に、案外言えることなのかもしれません。
例えば、ものづくりの現場でも。

わたしは、現場好きです。
今はオフィスでの図面描きの仕事が多いのですが、これも一種の、図面などを描く現場かなぁと思っています。
そして、建築、内装の工事の現場も好きでした。
女性の発言としては、珍しいのかもしれませんが。安全靴に安全帯、ヘルメットの出で立ちで、髪の毛の中まで埃だらけになって駆けずり回ったりですから。忙しかった頃は、終わりかけの現場と新しい現場が重なって、作業着のまま大阪と京都と奈良の間を行ったり来たりしたこともありました。当然ながら、そんな時は始発出かけの終電帰り続き。事務所に泊まり込んだこともあります。
けれど、きつい、危険、汚い・・・なんて世間一般に言われるような中での、その瞬間にしか見られない裏側は、百聞は一見にしかずで、そして問題点もこの時点で解決しなきゃならないことはたくさん出てきます。土工さん、ボード屋さん、大工さん、電気屋さん、空調屋さん・・・、まだまだ様々な職種の方がひとつの工事現場を支えていますが、そこでのコミュニケーションと連携プレーの末、ようやく形が見えてくる。自分で描いた図面が形になり、それをその現場に携わってくださった様々な人々と一緒に、喜びあえる瞬間でもあります。
大きな現場も小さな現場も、一大イベントです。色々、おもしろい現場話なんかも、そのうち書いてみようかとも思ったりです。

それ以外でも、いろんな現場を見てきました。
グラフィック広告の制作現場。わたしが知っているのは、平行定規が並んでいたような頃ですが、ちょうどMacを世の中に普及させようとする現場も垣間見てきました。以前、その時代の流れをちょっとだけ記事にしたことがありましたが、わたしのいた場所で、大日本印刷や凸版印刷の上層部の方へ、Macをどう活用していったらよいかのプレゼンテーションをしていましたので、ほんと、肌で時代を感じとった一人でもあります。
あと時代の流れで言いますと、LEDで、ちょうど白を加えてフルカラーにできるようにした時の、よく街角で見られる大画面の製作にも少々立ち会ったりもしました。製作の工場現場です。スタッフの方々と一緒にですが、ある物件の制御用の基盤を組み立てたこともあります。

書くことの世界での現場だと、取材でしょうか・・・。他にもあるよ、という声もあるかもしれませんが、これもほんのちょっとだけですが、経験したことがあります。医科歯科大の学会に取材者として出席し、そのテープ起こしをしたなんてこともありました。うんと若かりし頃、人手が足りない中、駆り出されたようなものだったのですが、その時は必死でしたが、よい文章とはおよそ言いがたい出来でしたし、その原稿を書き上げた直後、緊張の連続だったためか熱出して、2日ほど寝込んだなんてこともありました。
寝込んだことはさておき、取材して見えることって、やはりたくさんありました。その時の自分なりに。
わかりやすいお話に例えるなら取材ということではなくても、例えば、いろんな方々のブログで語られる体験談は、やはり生の声として参考になることが多いですよね。
生の、実際の、肌触りのようなもの、語られなくても見えないようなものが見えてもくるのも、現場ならではな気がします。

現場には、ほんとうのこと、が隠れてもいます。
それを、それぞれの現場にいる人々が、どのように受け止め、どう行動するかで、問題が解決されたり、時によってはおざなりにされてしまったりも起こります。
実際の問題点が一番見えているのも、現場ではないでしょうか。
書くことでできることは、それを繰り返さないよう、見えやすくするためのお手伝いかもしれません。もちろん、それだけではありませんが・・・。
そして現場にあっては、常に問題意識をもつこと、相談すること、我を忘れず初心に立ち返ってみること、そんなことが一つ一つの問題解決の糸口にもなるかもしれません。


ほんと、いろんな経験をしております。
器用貧乏かもしれません。(苦笑)
年齢を経てきて、こうして書いたりする中でようやく、この経験から見えることが役に立てられるかもしれないなぁと、最近思っています。


posted by Rin at 07:05| Comment(9) | TrackBack(0) | つぶやき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

サラリーマン(インハウスデザイナー)なんぞをやってますと、
とっくに決定して承認されたはずのデザインが、
どっかの会議でNGが出て、けっきょくやりなおし!
なんてことが起こったりして。

そういうときは、
「事件は現場で起こってるんじゃない、会議室で起こってるんだ!うおー!」
なんて、よく絶叫してました。

まーだから、サラリーマン的には、
「会議室」も「現場」ってことなのかな。

転職したらそういうことはなくなりました。
ここではムロイさんが上に行ったんだとおもいます。
なんつって。
Posted by 詩人 at 2006年03月26日 21:43
詩人様

いつも楽しく、拝読させていただいています。

デザイナーの現実・・・みたいな部分から言います
と、そういうことって、多々ありますね。
企業の事情や、得意先の事情によるところ・・・
みたいなこと。
(インハウスデザイナーに限らないかもしれま
せん・・・、そういうことが起こるの・・・。)
そういう意味での会議室は、確かに“現場”かも。
(^^;

転職された先が、ムロイさんが上に行ったと
思える場所だったのは、よかったですね!
Posted by Rin at 2006年03月26日 23:21
Rinさんこんばんは!

文章から想像して、
毎日とても大変だけど楽しそうな感じが
伝わってきます。
私はどちらかというと、バタバタというか
言い方は良くないですがそんなあわただしい時や
必死な時の方が、後々自分にとって為になることが
多かったりするので、「必死」ということが
個人的には好きだったりします。
(人によってはその言葉お嫌いな方も
いらっしゃいますが)
沢山素敵な経験をなさっていてうらやましいです☆
Posted by Shiho@ashargent at 2006年03月26日 23:26
Shiho様

こんばんは!

Shihoさんは、今のご自分を大切にして、その
“必死”を前向きに突き進んで行かれたら、
きっとShihoさんらしさの素敵さが詰まった道
を、極められると思いますよ。
それをわたしもうらやましいと言いますか・・・、
ブログを通して心から応援したい気持ちが沸いて
くるような感じで、いつも拝見しています。
がんばってくださいね。(^^)
Posted by Rin at 2006年03月26日 23:39
Rinさんこんばんは。

僕は今、メディアなどで仕事をしていますが、4年くらい前まで、デザイナーとして会社勤めをしていて、全くメディアとは違う所で働いていました。今の仕事は趣味が評価されただけに過ぎません。メディアに関わるより多くの時間をインハウスデザイナーとしてやってきました。
 
僕は1つの会社しか経験しませんでしたが、入社した頃は8人、10年後辞める時は150人、今では300人の会社になっているそうです。人が増える過程で業務が変化したので、いくつもの会社を転々としたような錯覚さえあります。
 
僕のいた会社ではバブル崩壊の2年後に景気が悪化しました。デザイナーは何人かいましたが、他の部が決まった実制作をまかない、長期でゆったりした仕事をしていましたが、僕の部は、会社の土台を支える部分。プレゼンのためのカンプなどを作るところでした。一日に10本以上のプレゼンを手がけ、早く帰りたいあまりに仕事の効率を良くしていくと、さらに仕事は追加させられました。試合に出ないで1000本ノックをしている感じです。
 
僕は、会社の歯車にされている感じがもの凄くしました。辞めたいと思ったけど、使命感で辞められなかった。
 
景気も回復し、会社も人がどんどん増えてくると、僕の仕事は1/50くらいに減りました。でも、その時には会社にいる意味を見いだせないでいました。別の理由ですが、僕は会社を辞めました。
 
もっと、自分のペースで楽しくやっていこうと。
でも、経営というのは半端じゃありませんでした。むしろ、昔の1000本ノックの頃の方が楽しかったと振り返られます。
でも、会社にいた時には分からなかった、メーカーの悩みなんかは自分も作ってうる立場になって少しは分かってきた気がします。何百回も修正させられた昔の事も、同じ立場になった時、理解出来るようになりました。
 
本心で厳しく言えるようになったので、代理店にチヤホヤされて、本音を言わないことを嫌う、本気で良くしようと思うメーカーさんなんかとは、一緒に飲んだり、実際今も仕事もしたりしています。
 
いろんな仕事を通して、日々勉強する事はたくさんあります。Rinさんとの先日の事も、僕にとってはとても勉強になったと思っています。
 
Posted by metabolism at 2006年03月27日 03:32
現場。
もちろん好きですが、私にとっては『緊張』という言葉があてはまるような気がします。
現場が悪かったら、それまで積み上げたものが台無しになる。多少詰めの甘かった計画や設計でも、現場や職人の腕でどうにかなったものも実際にありました。

私達がやっている仕事だと、基本構想を描いた人、都市計画決定をした人、お金を引っ張って来て事業化した人、基本計画を描いた人、基本設計をした人、実施設計の図面を描いた人、現場の業者、製作メーカー、職人と、一つのプロジェクトの中の時間とスケールによって様々な人が関わりますよね。私にとって現場はその最終プロセスだと思います。

出来上がった物や空間について『私の作品』だと設計者やデザイナーが声高に発表することが多いと思いますが、実は関わった全ての人が『私の作品』だと言えると思いますし、そう言えるくらいの思い入れを持つ事ができれば、最終的に出来上がった物の質は高いと思います。
私が図面を描いた一つの道路でも、必至に目地を美しく揃えてくれた職人がいる。でも業者や職人を必至にさせることができるようなデザインをし、図面を描かなければならない。
私にとっての現場はそんなところでしょうか?
Posted by shotam at 2006年03月27日 03:44
柳本様(metabolism様)

わたしも柳本さんとのやり取りに限らず、ブログを続け
る中、様々なことが勉強になっています。

今回書いた経歴みたいなものは、どんな現場にも同じよう
なことは言えますよ、みたいな部分と、こういう人間が
書いてますみたいな要素もありで、自分の経験をプラス
に変えたい思考でやっていくために肯定的にも書き、
どんな経験も無駄にはなりませんよみたいな気持ち
もあり、そうは言っても、デザイナーとしてはひとつ
のことを掘り下げてがんばっている方には、ぜひその道を
突き進んでほしいと常に思っていたり(色々をしますと、
しなくていい苦労もありますので)と複雑です。(苦笑)
自分なりのものを書いていきたいという、自分自身の
再確認もあるといったところでしょうか。

人の出入りが流動的な会社がどちらかというと多いのは、
建築や内装系、プロダクト系より、グラフィック業界が
全般的にそうだったかなぁと記憶しています。
わたしがおりましたところも社員数の移り変わりが激し
かったので、おっしゃられているような状況、想像は
できます。
会社も出会いのひとつで、人生に与える影響はとても
大きいですよね。
ただ、バブル以降の社会に学べる部分があるとしました
ら、会社の中での自分という立ち位置はあっても、それ
を一歩ひいて見れるかどうか、そして何より自分はどう
いう人生を歩みたいのかを自分自身と常に向き合えるか
が、その後に大きく左右しそうですよね。
企業にもよりますが。
色々書きながら、わたしも、もがいている途中です。

書くことって、難しくもあり、楽しくもあり。
相手の立場に立っているつもりが、そこを客観的につめ
ていくと錯覚もあったりで、その誤差が大きいと誤解も
大きくなったり・・・。
日々、試行錯誤です。

お手柔らかに。(笑)



shotam様

このコメントは、shotamさんのご経験からくる、細やか
な部分のお気持ちがよくわかりますね。

現場の状況いかんで、積み上げてきたものが台無しになる
こと、わたしもいやというほど経験しており、本当は、
1から10まですべてに携われるならいいのですが、それこそ
所属する場所や立ち位置によって、わかってはいても
いかんともしがたいことも多々あったり、自分の能力不足
や知識不足もあったりと、問題も悩みもそれぞれの仕事で
様々に起こります。

「踊る大捜査網」の「本当にやりたいことをやりたかったら、
偉くなれ」も、いろんなことに言えていたりして。
そうして、いろんな方々の協力あってこその意識を持て
るなら、すばらしいでしょうね。
Posted by Rin at 2006年03月27日 12:04
大学でデザインを教えています。
カテゴリーの分け方が珍しいブログですね。最近書いておいでだったもの、拝見していました。
理論を越えて、わかり過ぎておいでなんでしょう。そのため、わかっていないと感じることに敏感でおられる。これを読んでもわかります。
疲れてしまわれない程度に、流すことも方法です。
Posted by Savoy at 2006年03月27日 21:28
Savoy様

はじめまして。
コメントありがとうございます。
ご心配もおかけしているようにも感じ、また、そのように
言っていただけるほど、わかっているわけではないことを
わかっておりまして…、大変恐縮しております…。

書くこと、自分自身を知って、自分のわかることを自分
なりに書くことが理解を得られやすいことかなと、様々な
ブログを拝見しながら思うこと多く、そんなことも含め、
デザインにおける理論的なことなども、ブログなども通し
て勉強中です…。

カテゴリは、こういった形のものが確かにあまりございま
せんでしたので、そこをポイントに書き始めた部分もある
のですが、最近はコラム的なものが多くなってしまって
おります。
あちこちゆっくり観て廻れる時間をつくり、また、それ
ぞれのカテゴリも、もっと充実させていければとも思って
おります。
どうぞ長い目でご覧いただけますよう、今後ともよろしく
お願い申し上げます。
Posted by Rin at 2006年03月28日 11:55
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