2007年02月05日

敷地を読み取る重要性

何かの折にふれ、表現こそ違えど繰り返し書かせていただいてきたことかもしれないが、大型の建築物といった施設を創りあげるにあたって、最も重要であると思っていることは、“敷地を読み取る”ことだ。単純なカタチの問題だけではない。その周辺環境へ与える影響や、そこに住む人々、集う人々の暮らしとの関係性や、数年後、何十年後の先にも良い影響を与えながら残し得ることができるのか、不変と変化、その両面を捉えるような視点を持って、その敷地が何を、どのような形を必要としているのかを総合的に考えることの重要性である。
これは、このブログを続けてきた中で、より一層強く感じるようになったことである。
本来なら当たり前のことのようにも思えるこのことが、そう簡単なことではない現状によって、街のいたるところが埋められていっているのかもしれない。多くの企業による開発で起こっている問題点があるとすれば、そのほとんどが、このことがおろそかにされてきた結果であるとも思っている。
それに気がつき始め、根本的な見直しを少しづつでも始めている企業もあるようにも思う。

以前、大阪・南港のWTCに仕事で関わって、そして年月を経て感じることとしても書かせていただいたことがあるが、建ててしまったならば、なんとかして使っていくことを考えていかなければならないということがあるのだ。スクラップ&ビルドを繰返すために大きな資本を投じるなどは、あってはならないことのはずである。
それだけに一番最初の段階、敷地を読み取ることが、その建物の命運を分ける重要性を帯びている。

このブログを通しても様々な施設を訪れ、いろんな角度から施設を見るように努めてきたつもりなのだが、優れた建築家などがその施設のコンセプト部分にも関わって創り上げられた優れた施設は、それぞれの敷地を読み取り上げた中から生まれた無二のものである。
無二の中に同じ要素を含むこともあるかもしれないが、同じ要素の中に差別化が存在するようなものではない。ここに、けっして他では真似のできない、知識と技術力が存在するのだと思う。同じ要素の中に差別化が存在するものは、一つの例さえ手にすれば、ある程度の資本を持った企業であればどこでも真似ができるだろうし、すでに現状そんな繰り返しによって創られた街が、今、危機に瀕してもいるのではないだろうか。

このブログを単なる商業施設めぐりの一環として捉えて読まれる方もあり、確かに今年最初にイオンのNSCを取り上げさせていただいたりで、一見、それぞれの情報源という要素が強いかもしれないが、なぜNSCを取り上げさせていただいたかには、迫られている社会変化の必要性をそこに顕著にみることができるからという部分もあってのものだったりする。情報をまとめるだけであれば、誰にでもできることかもしれないし、それだけであればあまり意味をなさないかもしれない。
簡単なように思えることが情報の積み重ねの先にようやく見えることもあるという部分に、ここを続けることの意味も見つけたいと感じるこの頃である。ビジネスに関する部分はあっても、ビジネス以前の重要性をここでは追い求めてきたし、これからもそうありたい。

最後に、今一度述べておきたいが、敷地を読み取ることをおろそかに創りあげられるものは、いずれ淘汰されるようなものでしかないように感じている。
posted by Rin at 12:14| Comment(2) | TrackBack(0) | デザイン全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そこに住む人々、集う人々の年齢に偏りが無く、生活し続けるには何が必要か今更ながら考えさせられます。

Posted by raku at 2007年02月05日 21:43
raku様

そうですね。あらゆる意味での格差もできるだけ
なくせるような、そんなことも大切ですね。

おそらく、施設づくりのような仕事に関わり続ける
かぎり、それぞれの物件のそれぞれの敷地にどれ
だけきちんと向き合えるかは、永遠にテーマにして
いかなければならないことのように思っております。
簡単なことではありませんが・・・。
Posted by Rin at 2007年02月06日 00:02
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