2007年02月24日

ラピート

ラピート1.jpg

関西空港と大阪市内を結ぶ、南海電鉄のラピートです。
このカタチ、つくづく思いますが、鉄人28号ですね。

デザイン関係者の方はご存知の方も多いことと思いますが、このデザインをされたのは京都の建築家・若林広幸氏で、ラピート登場の当時はJR西日本のはるかをデザインされた木村一男氏との間で、議論が繰り広げられたりもしました。
よく聞いたことのある意見は、“はるかは設計で、ラピートはデザイン”といったことでしたが、今更のように、どちらがどうのといったことをここで述べるつもりはありません。

ただ、当時はまだ現在以上に、元々の分野や領域を超えるといったことに、元々そこで活躍してきた方々の抵抗感は強かったのではないかと思います。
木村一男氏にしてみれば、新幹線のデザインにも携わってこられたその道のプロであり、車両のあり方というものに確固たる信念もあったことでしょう。そして、それに対抗する私鉄としての集客を見込むためのアイデアに、このラピートの斬新さも必要だったはずです。
どちらも、それぞれに必要とされた事柄に対し、真剣であったことには違いありません。

分野を越え領域を超えるところに、時として、まったく新しい発想の転換が生まれる。そこに立ち向かう姿勢が真摯であれば、後々には、それぞれにそれでよかったと落ち着くように思います。

ラピートもはるかも、どちらもその時の交通経路の利便性などで使い分けて利用しています。仕事での利用がはるか、プライベートでの利用がラピート、そんな気分的使い分けもあるかも。
日常的なイメージの強いものも、そうでないものも、どちらもそれぞれの理に適ったデザインなのではないでしょうか。

ラピート2.jpg ラピート3.jpg 

2006年04月07日

携帯話

携帯電話を買い替えました。
本当は、まだ買い替えたくなかったのですが、丸2年使ったら、調子が悪くなってきてしまいました。保護フィルターや保護ケースも使って大事にしていたので、見た目はまだ新品並にきれいです。なのに、電池がまるでもたない、充電差込口内部に一目ではわからない異常があるらしく、うまく受信できなかったり。結果、修理に出すより、様々なお得な割引を当てると機種変更する方が全然お安いなんてことになりました。とてもフクザツな心境、2年で限界だったの・・・?という少々哀しみモード。機能的にかなり気に入って使っていましたので。

わたしは、機械オンチではなく、むしろ機能を使いこなしたりが得意な方だと思います。(例えば、DOS-V機を自作してみたことがあるくらいに。)パソコンに関してなどを記事にも書いてきておりますが、仕事に反映させたりもあって、様々なものの新機能についても常に情報のアンテナは敏感に作動していたりです。それと同時に、モノを大事にしたい気持ちもけっこう強くあり、丸ごと簡単に買い替えるのではなく、部分的なメンテナンスをできる限り試みたい使用者でもあります。
しかし、携帯の今回の買い替え、これが現在の携帯文化などの実情といったところでしょうか。買い替えに拍車をかけるようにシステムが出来ています。ホント、命が短いです。
まぁ、それによって機能性デザイン性が向上して、将来的には長持ちする、ずっと使いたいものが出来たらいいのになぁなんて思っていたりです。

F902i.jpgそして、新しく買った携帯。こうなったらと、すでにほとんどのショップで在庫がなく手に入らないものを、探し出してゲットしました。
レスポンスが悪いとかと口コミ情報があったものでもあるのですが、そう気にならずに使えそうです。写真は、はずして撮りましたが保護ケースもすでに装着して、ちょっとでも長く使いたいなぁと思っています。
2〜3日は、いろいろと以前のものと比較して、あーでもないこーでもないといじることになります。

さらに、新しく買った携帯には新しいストラップをと、つけましたものは、知る人ぞ知る「神谷バー」の“デンキブラン”のストラップです。最新の赤い携帯に不思議としっくりして、おっ、ちょうどよかったと心ひそかに喜んでたりします。最新のものに、“デンキ(電気)ブラン”(電気がまだめずらしかったころ、電気のイメージから名づけられたカクテル)というのがミソです。こういう、少々ニッチでメジャーなものや、なんとなく一人納得の意味付けしたりが好きなんですね、わたくし。
「神谷バー」について語ろうと思うと、それだけでそれなりの長文記事になってしまいそうですので、今日のところは、詳しくは「神谷バー」のオフィシャルサイトでご覧ください。詩人・萩原朔太郎も「神谷バー」で歌を詠んでいます。それだけでも、ちょっとした歴史も感じられて、最新携帯と一緒に眺めながら、意味深くモノ想ってみたりな本日です。


追記(2006.04.16):昨日、ヨドバシカメラ梅田店に行きましたら、この写真の機種の赤、在庫があるようになっていました。けっこう人気があって、追加製造されたのかなぁ・・・。わたしの入手した時期は、関西圏で置いているお店、ほんとなかったのですが。

2006年02月17日

“具”繋がり

コクヨがアクタスを子会社化するらしい。
正確には、コクヨ鰍フ子会社・コクヨファニチャー鰍ェ、アクタスとの合意のもと、アクタスの大株主である投資会社アドバンテッジパートナーズのファンド会社から株を買い取り、非常勤の取締役を一人、アクタスへ派遣するということ。アクタスの現在の経営陣は続投するそうだ。

コクヨといえば、日本では誰もが知るであろう文具メーカーだ。その歴史は、昨年2005年10月で創業100年を迎えている。このほど始めさせていただいたブログ『大阪から発信する』のテーマに少々絡めてみると、創業は1905年(明治38年)、創業者である黒田善太郎氏が、大阪市西区南堀江に和式帳簿の表紙店を開業したのが始まりという、大阪から発信の企業なのである。
発売されて30年、昨年までの累計で17億冊売れているという“キャンパスノート”は、誰しも使った経験があるのではないだろうか。現在では、そのキャンパスノートもバリエーションが増え、ページがめくりやすい「paracuruno(パラクルノ)」は、2005年度のグッドデザイン賞金賞(商品デザイン部門)を受賞している。手が不自由な人も、子供もお年寄りもめくりやすいノート。
コクヨは、ユニバーサルデザイン、“さまざまな人たちが、いつでも、どこでも、わけへだてなく安心して使える製品を生み出すこと”の取り組みに力を入れていることを、TVのCMや公式サイトでも表明している。

一方、アクタスは、東京・青山で始まった輸入家具のお店である。北欧インテリアブームの中、魅せる店舗で、オリジナル家具や雑貨・家電からキッチンに至るまで取扱うライフスタイル型のインテリアショップとして着実に知名度を上げてきた。
当ブログでも、京都・COCON KARASUMAのアクタス併設カフェ「スーホルムカフェ」を記事にさせていただいたことがあるが、今でこそ様々なインテリアショップが増えたが、デザインがハイセンスな店づくりのインテリアショップの、アクタスは草分けである。

コクヨとアクタス。
それぞれの持つ魅力は、まるで違っていた。
コクヨがデザインを重視するようになってきたといっても、より実用性色が濃いものの製造業と、嗜好性色のより濃いものの販売業、の違い。
だが、文具と家具、この2つの世界は、昨今とかく“デザイン”をキーワードに結びつくことが多くなってきた。様々な雑誌などで、これらのデザイナーズものが取り上げられることも後を絶たない。
文(ふみ)を書く道具と、家の道具。昔の日本家屋で考えれば、筆と文机。読み書きが大衆のものではなかった時代にまでさかのぼって思えば、その品々は美術工芸品の類でもあるわけだ。こうして考えてみると、stationeryとinteriorより、なんとなく日本語の妙を感じてしまうのは、わたしだけだろうか。

そして現代においても、どちらの道具もそのデザイン性が高くなれば、生活に潤いを与えることに変わりはない。

両社は手を携えることによって、コクヨは家具部門でオフィス家具のみではなく一般向けの事業を強化し、アクタスは資本力のバックアップを受けてさらに事業拡大を図ることとなるようだ。
両社の優れた面がそれぞれの魅力をさらに伸ばし、コクヨはよりデザイン力を高め、アクタスはより市場を拡大し、発展していくことを心から願いたい。片方の魅力が片方の魅力を半減させてしまわないよう、それだけは願ってしまう。

新しい事業展開がデザインの世界にまたひとつの新風を巻き起こし、機能性とデザイン性のよりすぐれたものが、常に身近な日常に溶け込む社会を創り出していってほしい。

コクヨ公式サイト:http://www.kokuyo.co.jp/
アクタス公式サイト:http://www.actus-interior.com/

2005年12月20日

レコードからCD、そして・・・。

東京散策の記事がなかなか書けないまま、またいくつか先に書いておきたいことが出てきている。

ある時のこと、まだ学生さんだったがある人が、レコードを廃材として別の形で再利用するということを実践してみている場に、行き合わせたことがあった。その人は、とても音楽が好きで、そして考えたことだととても無邪気に語っていた。
これは、わたしには大変な衝撃だった。先に申し上げておくが、良し悪しについてや批判であるとか、そのようなお話ではない。時代に対する個人的ショック、そのように申し上げておいた方がよいかもしれない。レコードというメディアの価値について、まるで“戦争を知らない子供達”と同じように知らない世代が多くなっていく時代に移り変ってきているということを、今更のように感じた出来事だった。

レコードからCDへ、音楽の世界がアナログからデジタルへと移り変わった当初、アナログ派はそのこだわりを捨て切れなかった一時期があった。ちょっと専門的なことで言われていたことでは、CDでは可聴周波数以上の周波数として20kHz以上の周波数の音がカットされており、自然界に存在する音とは違うとか、そのカットされた音の音楽からはα波は出ないとか、そんなことでの議論もあった。わかりづらい方には、辻 仁成氏の小説「グラスウールの城」などが、その当時のレコード会社の制作ディレクターを主人公に描かれていて、わかりやすいものかもしれない。
レコード盤.jpgわたし(30代)にとっては、まだそれほど遠い昔のお話ではなく感じるし、我が家には、今でもレコードもあればレコードを鑑賞するためのオーディオもある。だがやはり、圧倒的にCDで音楽を楽しむことの方が多くなったことは間違いない。レコードとCD、それぞれの価値を比べて云々というものでは、本来ないようにも思う。
周波数レベルでのお話では、すでに現在はスーパーオーディオCDの新たな規格もあり、そちらでは周波数も100kHzまでカバーしているらしいし、CDとのハイブリッド仕様によって、CD対応機器ではCDとしてとどちらでも聴くことができるように対応も考えられてきていたりだ。
時代はどんどん移り変る。

レコードについて、レコードを鑑賞できる機器がなく放置されていたなら、それは音楽CD時代から音楽を楽しんできた世代にとっては、廃材のように思えてしまうのも、しかたのない時代の流れなのかもしれない。だが・・・、レコード盤の時代についてを、知らないままになるのではなく、わたしもたまたま出会った前述の学生さんに、伝えるべきこともあったのではないかと、最近後悔していたりする。屈託のない無邪気さを前に、わたしは何も伝えることもなく、その場を立ち去っていたのだった。おそらくは、学校でもそれについて、触れられていたことはなかったのではないだろうか。否定や批判ではなく、それを廃材と考える前の段階がどこかであれば、古いものの価値も新しいものへの挑戦も、もっともっと活かされることがたくさんあるように思えてならない。

アナログからデジタルへの技術革新は、今や映像の世界へ突入し、アナログで感じられる質感というか感覚的な部分の表現のデジタル化での境目をどんどん縮めることも、ものづくりの場での挑戦やビジネスチャンスをつくり出していっているひとつの要素のようにも思う。

昔20代のころ仕事の関係で、あるレコーディングスタジオの出来上がる、最終段階に立ち会える機会があった。そのスタジオのミキサーの方や現場に関わった経験豊富な技術者達が、真剣そのものの表情で、壁面の吸音材のグラスウールをほんのわずかずらしたり、徹夜になるような状態で最終チェックをしておられた。最後は、耳で感じ取る経験からくるものが、良い音楽を作り出すスタジオへ導く、重要なものとなっていた。アナログ時代を経てデジタル時代を知る、プロの世界である。

人がつくり、人が聴く。
いつの時代も。
アナログであれ、デジタルであれ。

2005年12月09日

image

LEDの椅子-使用例.jpg
一昨日の記事、“LEDの活躍”の中で取り上げさせていただいた、東京デザイナーズウィーク・100% Design Tokyo会場の東京電力・町田ひろ子アカデミー・輸入住宅産業協議会のブースに置かれていたLEDを使った椅子(開発会社:タキロン)について、どこかのビルの展望スペースなどで使ってみたらどんな感じかのイメージを、甚だ簡単にパースにしてみるとこんな感じ。
(本当に簡単につくったので、じっくりご覧いただくとアラだらけなのは、どうぞご容赦のほどを。)
もうひとつの“フワピカ”プロジェクトは公式サイトでイメージを見ていただけるが、こちらは写真がなかったので。
あくまで、image。

2005年12月07日

LEDの活躍

11月末より、街中でのXmasに向けたイルミネーション&ディスプレイの写真を掲載してきているが、あちこちのブログを拝読していても、この季節のイルミネーションについて、青色のLED(発光ダイオード)が多く使われているということを取り上げておられるのをよく見かける。

Xmas向けイルミネーションに青色のLEDが多く使われはじめたのは、昨年からではないだろうか。そして一般に広く、‘LED’という製品名が知れ渡るようになった背景には、やはり、あの訴訟から和解へ至った、青色LEDの開発者・カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授による開発当時勤務していた日亜化学工業を相手に‘発明への対価’を求めた裁判がある。
和解に至ったのは今年1月であるから、まだ記憶にも新しいものではないだろうか。
‘発明への対価’というものについて軽んじられてきたことを、開発者と企業間での問題にとどまらず社会的認識を変えるものであったが、それまでは街で見かけるオレンジの電光掲示板がLEDだといってもピンとはこなかった人々の間でも、LEDと言っただけで話が通じるようになったような出来事でもあった。

Xmasイルミネーションのような、それぞれの商業施設などが話題や注目を集めたい季節イベントものには、そんな社会的な話題性も大いに利用できるものだったはずだ。しかし、街の景観まで一変させてしまうから、その影響力は侮ってはいけない。
青という色彩が寒色系であるから、その青色を寒い冬という季節のXmasイルミネーションに多く使用されることには、賛否両論意見が分かれているように見受けられる。

大阪駅ファサード.jpgわたし個人としては、その形状や飾り方によって良いと思うものもあれば、なんとなく淋しいように感じるものもありで、青色だからイマイチというよりは、その使われ方によるように思っている。昨年と今年、多用されずぎているのが、あまり好ましくないという意見を生んでいるようにも感じる。
街路樹に青だけというのもたくさん見かけたが、これは写真に撮ってみても映えず、ゆえに当ブログでは青色イルミネーションはあまり掲載していない結果となった。その中、その飾り付け形状からも綺麗だと感じたものはといえば、前回にも写真掲載した大阪駅・アクティ大阪のファサードを飾るイルミネーションだろうか。青だけでなく、白も混ぜての演出がよいのかもしれない。


Xmasイルミネーションから話は変わるが、青色LEDの登場によって電光掲示板などではフルカラーもできるようになったりもあって、最近、LEDを使った様々なものの商品化に向けた開発も進んでいるように思う。
東京デザイナーズウィークでもインテリア見本市・100% Design Tokyoの会場で、LEDを使って話題を集めていたものがたくさんあった。
以前も書いたように会場は撮影禁止だったので写真でのご紹介はできないが、例えば、東京電力・町田ひろ子アカデミー・輸入住宅産業協議会のブースに置かれていた、虹のように色鮮やかなグラデーションで発光する椅子。開発したのはLED電光掲示板などを長年手掛けてきたタキロンで、ちょうど訪れた時におられた方にお聞きしたところ、このブースのために造られたものとのことだった。「いかがでしょう。製品化したら売れると思いますか?」と尋ねられ、ブースとしてはテーマが“LET'S Party”ということで、住宅でのパーティーシーンを華やかにといった演出のためのものだったようなのだが、「お店やアミューズメント施設で使えるように思います」とお返事をさせていただいた。
あと注目されていたものとして、PROTO-TYPE INC.による“fuwa pica(フワピカ)”プロジェクトの“honeycomb(ハニカム)”と名づけられたスツール。人が座り姿勢を変えると、内部に組み込まれたLEDの色や明るさが変化するというもので、空気圧の変化をセンサーで感知されるようになっていた。
こちらも、住宅でより商業施設で使われることに向いたものだと思う。

このように、LEDの色を演出要素として使う商品と、LEDで例えば家電の電源が入っている表示や、テレビ・オーディオなどのリモコンに使われている赤外線のLEDといった必要機能として組み込まれた商品では、使われる場所も内容も変ってくる。前者は街の中で、後者は家の中でというように。
いずれにしても、熱を光に変えている白熱灯より、電気を直接光に変えエネルギー的にも高効率なLEDは、今後さらに幅広く活躍させるべく研究開発が進んでいくことだろう。

2005年10月27日

CDT
Craft Design Technology クラフト・デザイン・テクノロジー
文具、洗練のデザインへ

文具の老舗メーカー7社が連携して企画開発に取り組む文具統一ブランド『CDT(Craft Design Technology)』が、本日10月27日より販売され始めている。(webサイト:http://www.craftdesigntechnology.co.jp/ ※本日時点での販売は、契約の進む一部の店舗のみ)
CDTwebより.jpg

統一ブランドというこの企画の発案者は、アパレルデザイン業界に関わり深く、神戸マルイのディレクションなどの実績をもつ、プランニング会社アドバタイジング・オーケストラの社長AZZAMI(アザミ)氏。そして、『CDT』デザインを手掛けるのは、記事にもさせていただいた「amadana」を手掛けた鄭 秀和氏と、ロンドンの代表的なデザイン誌「Wall Paper」の創始者であるタイラー・ブリュレ氏である。デザインについて両氏が各得意分野とする、立体的部分と平面的グラフィックをそれぞれ担当、ブランドロゴの入れ方やデザインディテールまで詳細を決めたマニュアルを各メーカーに配布し、そこにそれぞれのメーカーの持つ技術力が加えられての商品とのこと。『CDT』という名称は、Craft=職人、Design=デザイン、Technology=技術という、商品へのコンセプトをそのまま表現している。

現在の商品種類は約30種類で、メーカー7社の取り扱う各商品担当内容は、
サンスター文具→定規類 ・ ゼブラ→筆記具 ・ ぺんてる→筆記具 ・ 竹尾→ノート類 ・ ライオン事務器→ハサミ、机、椅子 ・ ヤマト→のり ・ シャチハタ→ハンコ
と、各メーカーの得意とする分野を扱っているようだ。
例えば、紙質という点でノート類に、グラフィックデザイナー御用達の竹尾まで参入しているというあたりが、この企画内容のこだわりを非常に感じるところでもある。
将来的には、オフィス用のデスク・チェア、ノートパソコンのケースや各種バッグなども扱っていく方向とのことである。

また、商品の販売店だが、全国の生活雑貨店やインテリアショップ・アパレルのセレクトショップなどで扱っていく予定だそうで、ここに鄭氏の「amadana」と同じく販売ルートもこだわることにより、通常考えられる商品へのイメージを一歩前進させ、価格・質的にも一線を画すものとし、それでありながらより身近に感じられるものとしていくよう思われる。商品を並べる什器もウォルナット材を使った上質感のある専用什器を、鄭氏の会社インテンショナーリーズで開発中とのことだ。
現時点での情報では、関東ではアパレルの「ユナイテッドアローズ」やライフエディトリアルショップの「シボネ」で販売が予定されているようで、大阪では南堀江のビジュアル洋書籍やCDなどを中心に扱うセレクトショップ「コピーライト」で販売が開始されている。来秋の1年間をメドに、国内200店・海外100店に売場を設け、3年後にブランド全体で10億円の売り上げを目指しているということなので、身近に『CDT』を購入できる日もそう遠くはないだろう。
CDTwebサイトにも、調整の上、販売店一覧が掲載されるようだ。ちなみに、このwebサイトだが、タイラー・ブリュレ氏サイドのロンドンで制作されているらしい。

そして、さっそくだが本日、大阪・南堀江の「コピーライト」でいくつか購入してきた。
CDT.jpg
写真は、ポケットファイル(¥1050)とシャープペンシル(¥1575)、そして消しゴム(¥210)である。明日からさっそく仕事で使おうというお手頃なもの。とてもご親切に色々商品の説明をしてくださった店長さんのお話によると、ポケットファイルに使われているデザインは、真田紐(戦国武将・真田昌幸が刀の柄に巻いていたという、太い木綿糸で平たく厚く編んだ紐)をモチーフにしているそうだ。世界へと市場拡大を目指す商品として、図柄・色彩などにおいても日本の伝統美も取り入れたものにしているようだ。また、シャープペンシルは非常に軽く握りやすく、消しゴムは消し具合上々によく消える。どれもシンプルでいて、すっとした上品さのある、飽きのこないデザインである。
なお、「コピーライト」だが、「amadana」も取り扱っている。

CDTwebサイト内に掲載の社是に、Craft Design Technologyという“3つの言葉が組み合わさる事を、必然だと感じられるようにしたい”とあり、また、“デザインとは、かたちだけでなく、意味を創造する事”とある。

ここ数年、文具市場は低迷が続いている。文具をコーナーで多く扱う100円ショップが全国各地にひしめく状況などから考えても、低価格競争・コスト削減などが余儀なくされることは、容易に想像がつく。消費者にとって安いものが気軽に手に入ることは、バブル崩壊以降それはそれで必要に迫れれた社会背景もある。だがそれだけでは経済市場の悪循環が招かれ、ものづくりに携わる企業は立ち行かなくなるだろう。
文具というビジネスあるいは学習などでの日常の中、身近に使用するもののあり方を少し掘り下げ、追及するこのプロジェクトが、デザインされた文具としての話題性だけでなく、企業の垣根も国境も越え、ものづくりへの新風をも巻き起こしていくことを期待したい。

2005年10月18日

喜多俊之氏 もてなしの心のプロダクト

大阪デザイナーズウィーク以降、フォーラムでお話くださった先生方の作品についてを、記事にさせていただいてきた。そして、今日記事にさせていただく喜多俊之氏は、デザイナーズウィークを主催運営しているNPO法人デザインアソシエーションの理事長でもいらっしゃる。

フォーラムの壇上での喜多氏は、お話の流れにとても心配りをされておられるよう感じた。
デザインアソシエーションの理事長としての立場で、安藤忠雄氏をお招きして…というシチュエーションでもあったのかもしれないが、おそらく普段から気遣いや心配りに心をくだいておられる方のように感じる、そんなご様子だった。

これは、喜多氏の作品にも表れているよう思う。
プロダクトという人の日常の身近なもの、それらのデザインには、きめ細やかな気遣いや心配りといったことの必要度合いが大きく、それがちょっとした使い勝手の良し悪しを大きく左右する。例えば、最近の喜多氏の作品で最も知られているシャープの「AQUOS」は、省エネで長寿命、ライフスタイル に合わせて選べるデザイン・大きさといったことがCMなどでも語られているが、まさにそれは、使用する生活者の生活への心配りの内容である。
また、喜多氏はイスのデザインでも世界的に知られる方だが、人の体を支え、安定感や安らぎをもたらすことが重要となるイスには、さらに人間工学にも基づいた形状への心配りが必須である。

DODO.jpg写真は、フォーラムの中での映像でも紹介されておられた、喜多氏デザインのCassinaの「DODO」である。この「DODO」は、フランスのモダンアートミュージアムのパーマネントコレクションにも選定されている。
Cassinaの店内で、このイスを見かけて座ってみたことがある。革の肌触りや背中から足腰へのやわらかい感覚が、きっと長く座われば座るほど、もっと座っていたくなりそうな、リクライニングさせたら眠ってしまいそうな、そんな座り心地のイスだった。
「DODO」だが、現在、日本で通常販売されているのは、黒と白の革の2タイプ(¥430,500)だそうだ。その他の張地は受注輸入となっており、納期はおよそ4週間とのこと。この4週間は長いようで、フォーラムでの映像にもあったが、イタリアで職人方による磨き上げられた技術をもってなされる丹念なその工程を思えば、仕上がりを見てもおそらく納得のいくものなのだろうと思う。

フォーラムの中で喜多氏は、昨今の日本の生活習慣では、家に人を招きもてなすということがなくなってきており、それが住まいに対する気配りが失われる原因になっている、といったことをおっしゃられていた。
この‘もてなしの心’は、美しく住まい、暮らすことにも繋がるものであり、そしてデザイナーにとっては、デザインする上でも心に留めておきたい大切な要素と言えるだろう。
ゆえにこれは、ここ数日記事にさせていただいてきたどの先生方の作品の中にも、必ず伺い見ることのできるものでもある。

フォーラムでのお話を振り返りながら、記事を書かせていただいてきたが、難しいことではない生活の中のちょっとしたことでも、…例えば、季節の花を買って帰り、それを飾るような気持ちなど、つい日常に忙殺されて忘れそうになるようなことにも、改めて心を向けてみたいと思っている。
そんな日々の心のありようから、なにもデザイナーだけではなく、ごく普通の生活の中からも、デザインはなされていくのではないだろうか。
それこそは、今、デザイナーズウィークというイベントを通して日本を活気づかせていこうとする中での、小さくても最初の一歩のように思う。

2005年10月16日

鄭 秀和氏の美しいカデン「amadana」

大阪デザイナーズウィーク・フォーラムで鄭 秀和氏のお話をお聞きして、非常に言葉を選ばれる、言葉による表現というものも、とても大切にしていらっしゃる方のように感じた。
もちろん他の先生方のお話でも、また世の著名な多くのデザイナーの方々も、‘コンセプト’というものをデザインを進める中、追求し究めていかれるため言葉も大切にしておられる。
その中でも鄭氏のそのこだわりが、わたしにはとても印象に残り、氏のデザインを拝見したりにあたって切り離せないものになっている。

美しいカデン amadana

amadana電算機.jpg
写真は、「amadana」の電子計算機である。3色あるシリーズの中の、ブラウンタイプのものだ。この電子計算機、見た目のデザインもさることながら、手にとって使う時の重量感や大きさ、質感にもこだわりをもってつくられている。そして、その機能は、‘「できる人」の電子計算機。’と謳われているだけあって、坪とuやmi(マイル)とkmといった独自の単位変換機能や通貨変換機能も搭載されており、なかなかの充実ぶりである。おそらく、鄭氏ご自身が、こんな変換ができる機能があったらいいのに・・・と、そのお仕事の中で思われた経験のあるようなものを、取り入れられているのではないだろうかと思う。
わたしにとっても坪変換計算など仕事で結構するため便利であり、また、こういったデザインのものに触れながら仕事をするのは、面倒だと思える計算をしている時でもなかなか楽しい心持ちや、凛としたちょっと姿勢を正す心持ちにもなれる。
‘カデン’の次は、文房具に着目されておられるということだったのだが、この電子計算機はそれに繋がるものでもあるのかもしれない。

これら「amadana」の商品だが、東京だと、ちょうど今月2005年10月7日に中目黒でオープンの、「BALS STORE」内1Fに「amadana 中目黒店」(大阪デザイナーズウィーク・フォーラムでも紹介されていた)が直営1号店としてオープンしており、すべての「amadana」カデンに出会える場所として話題を呼んでいる。(まだここは訪れていないため、東京へ行く機会のある時には、ぜひ訪れたい。)
また「BALS STORE」だが、インテリア雑貨の専門店「Francfranc」などを手掛けている潟oルスが、初めて手掛ける大型商業施設である。
「amadana」はただデザイン家電としてではなく、日常の中で、ほのかだが眩しい求心力をまとう佇まいの、それを使う人にとって愛すべき存在であってほしい‘カデン’として、この「BALS STORE」内の直営店をはじめ、全国では「Francfranc」や「ACTUS」といったインテリアショップ、あるいは「SHIPS」のようなファッションブティックで販売されている。
‘販売ルートもデザインする’といったお話が大阪デザイナーズウィーク・フォーラムの中であったのだが、ここにも鄭氏のこだわりが感じられる。

ホームページにも載せられているが、それぞれのカデンの説明がなされているリーフレットにも載せられている‘美しいカデン’についての語りは、建築家である鄭氏がなぜ、家電を‘美しいカデン’としてつくりたかったかが、よく伝わってくる。その根底にあるものはやはり、‘美しく暮らす’ということで、それを考え求めた結果なのではないだろうか。
そして、そんなことを硬く硬く考えるのではなく、とても自然なこととして、そのお仕事に反映されてこられたのだろうと思う。
同じく載せられている、‘こんな風にはお使いになれません。’の、ちょっと微笑みをさそう味のある楽しいイラストと説明のユニークさや遊び心もまた、気負いや気取りのすぎない、この‘美しいカデン’をより魅力的に感じさせるひとつのスパイスになっている。

「amadana」は、2008年までに計6店舗の出店を計画しているそうだが、ぜひ関西圏にも出店してほしい。


追記(2005.10.18):今月発売の雑誌「Casa BRUTUS」2005年11月号には、「amadana」や今月末発売開始の「クラフト・デザイン・テクノロジー」についてや、ディーター・ラムスについて語る鄭 秀和氏が、少しずつだが掲載されている。
また、東京デザイナーズウィークについては見どころ情報など特集が組まれているので、ご興味ある方のチェックにはよいかも。

追記(2005.11.20):東京デザイナーズウィークの各イベントを訪れた際、「BALS STORE」も訪れることができた(2005年11月14日付・ 「BOTSU展」について記事掲載)ので、その時、「amadana 中目黒店」で撮らせていただいた写真を掲載しておきたい。店員の方が大変ご親切にしてくださり、店内での撮影も許可してくださった。
BALS-amadana1.jpg BALS-amadana3.jpg BALS-amadana2.jpg

2005年09月26日

タリアセン2 その照明

帝国ホテル東京の「フランク・ロイド・ライト・スイート」について記事にした続きというわけではないのだが、ある場所でライトのデザインである照明の“タリアセン2”を見ることができたので記事にしておくことにした。

その場所とは、2005年2月に開港した中部国際空港・セントレア。その4F・レンガ通りにある『ZETTON CAFE & EATS』に、この“タリアセン2”が贅沢に据えられている。
内装を手掛けたのは、インテリアデザイナー 森田恭通氏。カフェ&ティーだけでなく、フライトの前のアペリティフにシャンパンやワインなども揃えられており、またシガールームも併設されている。
広大なチェックインカウンターを見下ろすカフェで、旅人は何を想って過ごすのだろう。

ZETTON-CAFE1.jpg ZETTON-CAFE2.jpg  

ライト通の方はよくご存知のことだろうが、「タリアセン」は、ウィスコンシン州スプリング・グリーンに建てられた、フランク・ロイド・ライトの自邸であり仕事場であった建築の名称である。タリアセンとは、ウエールズ語の‘輝ける額’の意。スプリング・グリーンの小高い丘の頂上ではなく、ちょうど‘額’のあたりに建てられた自邸や工房などの建築群は、丘の稜線を損なうことなく自然の景観と融合し、まるで王冠の宝石のように輝く、それがライトの意図したものだった。
ここで中心に語っている照明は、そのタリアセンとともにデザインされた作品であり、“タリアセン2”は、数奇な運命を辿り消失(放火・火災による)と再生を繰り返したタリアセン、2回目の建築の時のものである。

タリアセン2.jpg
その照明を『ZETTON CAFE & EATS』のようなカフェで見ることができるのは、照明メーカーのヤマギワが、フランク・ロイド・ライト財団の協力のもと、伝統工芸技術と新しいテクノロジーを応用し、復刻品として販売しているからである。そのデザインは、幾つものチェリー材のブロックで構成されており、それぞれのブロックに白熱電球が組み込まれ、合板の遮光板を取り付けることで、間接光の心地よい明るさが得られるようになっているとのこと。

<←タリアセン2

ライトの建築を彷彿させる照明。そんなライトのデザインを、国際空港のチェックインカウンターを見下ろすといった、まさに現代の舞台でも見ることができるというのは、おもしろくも楽しい趣向だと感じた。
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