2005年10月13日

間宮吉彦氏デザインの眼鏡ショップ

数日にわたって記事にしてきた大阪デザイナーズウィークも終わり、さて次は何を記事で取り上げようか…と考えたが、せっかくなのでこの機会、しばらくデザイナーズウィークに多少でも絡んだことにスポットをあてていきたいと思う。

そこでまずは、デザイナーズウィーク・大阪実行委員会委員長であったインテリアデザイナー 間宮吉彦氏の作品を…ということで、数々の作品の中からちょっと前の話題を掘り起こして、眼鏡店3店をご紹介したい。

<デザインにご関係のある方・ご興味のある方は、間宮氏の作品にしてもこれまで記事にした他のお店などにしても、よくご存知の方も多いことと思うので、なにもここで今さらという声も聞こえてきそうだが、当ブログは管理人Rinの情報整理と勉強の場でもあったりするため、そのあたりはどうぞご容赦のほどを。
このブログをお読みいただいた方が、改めてその場所を訪れてみたり、考えてみたりの、そんなきっかけにでももしなれれば…幸いである。>

◆ DECORA ◆
【住所】兵庫県神戸市中央区三宮町2-4-4 三宮神社参集会館1F
【TEL】078-326-4118
【営業時間】AM11:00〜PM8:00 <不定休>
【開店】1999.12.14 <内装のみ 全面改装>
[商店建築 2000.04掲載]

◆ G.B. Gafas 南船場 ◆
【住所】大阪府大阪市中央区南船場4-8-5 南船場大阪産業ビル1F
【TEL】06-6243-2078
【営業時間】AM12:00〜PM9:00 <不定休>
【開店】2001. <全面改装>

◆ G.B. Gafas 梅田 ◆
【住所】大阪府大阪市北区梅田1-12-6 E〜ma 2F
【TEL】06-4795-7543
【営業時間】AM11:00〜PM9:00 <不定休>
【開店】2002.04.24
[商店建築 2002.11掲載]

《3店舗共通》
【経営者】泣Oラッシーズ 竹中太一
【設計】インフィクス 間宮吉彦
【施工】キクスイ

【関連HP】http://www.glasses-inc.com/ie/ieindex.html

この3店は、経営者が同じ泣Oラッシーズである。これらは、大阪デザイナーズウィーク期間中の記事(<その2>)でもちょっと書いた、雑誌「Meets Regional」の別冊で間宮吉彦氏 設計の店が特集されていた中でも、“眼鏡店を作るということ。”と題して取り上げられていたものでもある。

3店とも、同じ経営者のお店であるにもかかわらず、まったく個性が違う。それは、それぞれの立地環境を考慮し、その環境の中で求められる、そこへ入ってみたいと興味を起こさせるよう、デザインされているからにほかならない。
デザイナーズウィークのフォーラムでのお話にもあった‘なぜ、デザインするのか’は、このように、それぞれのお店を通して語られ続けてきているように思う。

GBgafas南船場.jpg大阪・南船場にあるG.B. Gafasは、間宮氏がデザインする前はオーナーの竹中氏自身がデザインもされていたそうだ。それだけオーナーにも、お店へのデザインに対するこだわりがあるのだと思う。だからこそ、扱うその商品・この場合は‘眼鏡’についてのプロと、空間についてのプロの、その考えをぶつけながらの共同作業はただの一方通行ではなく、より完成度の高いものを求めるものになり、その結果がみごとにお店に現れているのだろう。
南船場にあって、このクラシックで高級感漂うお店は、よい意味で来店するお客を選ぶお店ともなっている。
昨今、眼鏡業界は、その商品単価が非常に安いお店が軒並み増えている。バブルのはじけて以降、消費の冷え込んだ時期、この安い商品の登場は、消費者にとって魅力的であったことは間違いない。だが、それは業界の過当競争を招くものでもあり、業界全体がその部分に偏ることは、社会的に良い結果になるとは言えない部分がある。
その点で、このG.B. Gafasは、フレームで商品単価2万前後〜4万の商品が多い。高級ブランド名を掲げたショップは別として、お店がお客を選ぶなど、一言での表現では眉をひそめる人もいるのかもしれない。だが、一定の価格と品質を保ち、店そのものもデザインにこだわり魅せているお店の存在は、まったく手が届かないという値段ではない商品に価値を見い出し、それを手にすることがちょっとしたステータスにもなるような満足感を得るという、それぞれの人が自分に磨きをかけることをちょっと目指してがんばってみようという気持ちにも導いてくれるような、そんな社会効果もあるのではないだろうか。

GBgafas梅田.jpgクラシックとはうってかわって大阪・梅田E〜maの中のG.B. Gafasは、透明感のあるシートによってデザインされたガラスのファサードからちょっと近未来的な店内が見渡せる、これもまたこの環境でこそ活きる強烈なインパクトを放ったお店である。
梅田のE〜ma自体が、「ユナイテッドアローズ」「ジャーナルスタンダード」「ミュージアム フォー シップス」といったテナントを地下街のディアモール大阪から移転させてきたような、時代や流行への‘高感度’を目指す商業施設(施設運営:潟Uイマックス・建築主:東映梶A大阪アストリア起業)でもある。上層階には、シネマコンプレックス「梅田ブルク7」も入っている。
その吹き抜け部分に面する2Fに立地するこのお店を間宮氏は、ビルの中のランドマーク的な役割を担う店をつくろう、そんな想いでデザインしたそうだ。ここへ、自然に足を運ばせるデザイン。内部の円盤什器は、透明のアクリルに10mmの溝状カットを施し、自ら発光しているようにもみえる仕掛けをしたり、眼鏡という軽量な商品を載せ魅せる工夫には、さすがにきめ細やかさも光っている。

DECORA.jpg間宮氏による泣Oラッシーズのデザインでは一番古いDECORA。
このDECORAの写真は(およそうまく撮れているとは言い難いが(苦笑))、実は今年2005年1月16日に撮影したものである。震災から10年を迎えた神戸の街の17日前日の日曜日、ある鎮魂のためのコンサートへ行く前に、街を散策していた時のものである。
その時、このお店が間宮氏デザインのものであることは頭の隅にあったのだが、ここを間宮氏が手掛けられるにあたって、‘街へ楽しさのエネルギーと復興へのエールを送る’想いもこめてデザインされていたことは、写真を撮って帰った後、2000年の商店建築を調べていてはじめて知ったのだった。
発光する円形フレームのディスプレイウォール。まるで眼鏡をかけた、いろんな表情の顔が並んで外を見ているようだ。その楽しさは、このお店がデザインされ登場した、震災から5年を迎えようとしていた冬、必要でもあり、人々に望まれていたものでもあったのではないだろうか。
そして奇しくもそのさらに5年後、わたしは神戸の街が鎮魂の色に染まる中、引き寄せられて携帯デジカメのシャッターをきっていた。
そこにはやはり、そのデザインへ込められた想いの力によるものも働いていると、この記事を綴るにあたって改めて思う。

‘なぜ、デザインするのか’。そのデザインすることへの根源となる問いかけに、この3店のお店はそれぞれの場所でそれぞれに輝き、そこでの存在価値を築くことで答えているのではないだろうか。


追記(2005.10.15):折りしも、 「メガネの国際総合展」が10月12日〜14日・東京ビッグサイトで行われていた。
その中、2005年度の日本メガネベストドレッサー賞の表彰式(10月12日)とアイウェア・オブ・ザ・イヤー2006の表彰式(10月14日)もあった。
この記事、このイベントが行われる時期を狙って書いたわけではなかったんだが、ある意味、眼鏡つながりでタイムリーな話題になれたようだ。

posted by Rin at 00:04| Comment(2) | TrackBack(1) | 物販>服飾雑貨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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